子育てについて

受験も、そろそろ佳境に入るんでね、このあいだ娘にチキンカツを作ったよ。「きちんと勝つ!」みたいなね。本当にくだらない、センスの悪いゴロ合わせだけれど、受験生の親ともなると、こんなこともやってみたくなるもんだよ。コーデネイトはこ~でねぇと。ゲラゲラ。
パン粉がなかったんで、麩をクラッシュして代わりにしてみたよ。味に変わりはなかった。

ある日、娘からある相談を受けたんだよね。これは家族みんなの課題だって判断した俺は、早朝5時に起きて、お茶を沸かしてさ、カミさんと、娘を起こして会議を開いたよ。なんだよ朝っぱらからという感じもあったけれど、なににも干渉されない特別な時間に、一時間という時間をきちんと決めて、まっすぐ話をしてみたかったんだ。「意見を否定してはいけない」「最後まで話を聞く」っていうルールも作ったよ、相談には若干荒れそうな内容もあったからね。
結果、この会議は3回ほど続いて、ようやく家族みんなが納得いく答えへとたどりついた。
その間、とにかくいろいろなことを考えたな。俺が娘の年齢だったころを思い出したり、親父だったらどう言っただろうかとかさ。自分の意見を通して可能性をつぶすのか、それともライ麦畑の崖から落ちていくのを見守るのかなんて葛藤もあった。でも、とにかく、こんな時間をくれたのはギフトだと思ったよ。仕事をしている頃は、それにいっぱいいっぱいでさ、こうやって家族と正面から向き合うことを避けていたように思う。
なにより娘が勇気をもって、このように自分の考えを正面からぶつけてきたことに成長を感じたし、真剣な娘のまなざしを見ていると、不思議と、我が娘が生まれてくれて本当にありがたかったなあなんて思ったよ。結局、自分にとって、このリアルが幸福そのものなんだよね。だから、いつまでも、どんな状況であっても、俺は娘を全力で応援していくことには変わりはないんだ。

そんな中、年長者で、経験豊富なジャンボリーのマスターにも意見なんかを聞いていたらさ、こんな本を貸してくれたよ。でも、インチキな俺は、それをななめ読みをしてさ、わざと娘の目のつく場所に置いてみたよ。
そして、それを見つけた娘はこう言ったんだ。
「おい、オトン、これはわかりやすすぎやろ」